まだMMTを知らない貧困大国日本

なぜこんな単純な事実に気づかなかったのか?

今日本がどのような状況か知っていますか? 特に過去20年間経済の成長をしていません。平成の時代に衰退に至った真の原因は何か、それをひも解く鍵となる本を読んでみました。 「まだMMTを知らない貧困大国日本」小浜逸郎著 徳間書店

私は、平成の時代に日本が特に低迷したのは、どうしてなのだろうとずっと疑問をいだき続けてきました。色んな情報に触れるにつれて、日本の衰退の全体像がだんだんとわかってきたように思います。

その根本にあるのは、国民の「経済・貨幣理論に対しての未学習」であるがゆえに、誤った考え方を持った政治家、マスコミや一部の著名人の話に見事に誘導され、騙され、信じ込まされてしまった。そして緊縮財政という間違った呪縛から開放されずにいることであると確信しました。

国民も、マスコミの偏向情報に騙されていたことに気づくことが、日本の衰退を止める鍵になると思っています。

この本から得られるものは

日本を貧乏にする悪い学問を今すぐ捨て去り、間違った認識を取り除くためにどういう考え方をすればよいか、はっきりとした指針を示してくれる本です。

前半部分は日本の抱える問題点、後半部分は MMT(現代貨幣理論)についての解説が書かれています。これを読めば日本を立て直す正しい「学問」とは何か?が理解できます。
日本が衰退した原因をできるだけ多くの国民が共有し、これまでの発想を転換する必要があることを著者は強く主張しています。

著者のプロフィール

横浜国立大学工学部卒業。国士舘大学客員教授。思想、哲学から仕事、教育、家族など現代日本が直面してる社会問題に対して幅広い批評活動を展開している。著者に「福沢諭吉しなやかな日本精神」「デタラメが世界を動かしている」「13人の誤解された思想家」などがある。

本の概要

1)日本に迫り来る衰退の兆候
・貧困化する日本
 国内の子供の6〜7人に一人は貧困状態にある。
・一人あたりGDPは、1996年には世界3位、2019年には26位。
・名目成長率の国際比較では、1997年を100として、日本だけが全く伸びていないどころかダントツで最下位、マイナス成長。

本書P36より抜粋

・日本は国家的な基礎研究にろくに投資しない。
・財務省の緊縮財政により、国防費も緊縮。
・領土侵略に対して無力。
・日本の教育予算の対GDP比は、2014年時点で8年連続33カ国中最下位。
・若者の生活不安定による結婚難など、全てが緊縮財政に起因している。
 
*間違った経済政策に対してもっと怒りの声を上げるべき。

2)インテリの思考停止

・経団連、経済同友会は利益優先主義に走り、法人税減税をするため消費税増税を主張、財政破綻の危機を訴え続けることにひたすら固執。
・最悪なのは、従来の経済の専門家と言われる人たちが、経済成長していなかったデータ・事実に目をそむけ、自分の主張を曲げないこと。
・国が滅んでいく最大の原因は、国民が自国の滅亡しつつある過程を自覚しないこと。

3)安倍政権はなぜ大失敗したのか
  緊縮財政に固執して経済成長を拒む政策を行い、消費税を2度も上げた。
  グローバリズムにひたすら奉仕した。
  規制緩和を極力進めて競争原理を貫いた。
  外交安全保障では対米従属に徹底する一方で、仮想敵国中国に媚を売った。
 
4)良い学問と悪い学問の違い 
悪い学問
・緊縮財政(財政健全化路線)を満たすために税収を増やす必要があると思いこんでいる。池上彰氏などが財政破綻論というトンデモ発言をして、国民が信じてしまった。 
・安倍政権のすすめてきた、財界、グローバリストが有利になる政策を優先して採用した。

良い学問
・自国通貨建て変動相場制を持っている国では、国債発行額に制約はない。政府はその限りでは、財政赤字を気にする必要はない。(事実)
・国債発行に制約があるのは、過度なインフレになる兆候が見えた時に初めて、金利調整・増税などで調整は可能。(事実)
・政府の債務残高は、過去に政府が財政支出を税金で取り戻さなかったものの履歴でしかない。(事実)
・政府の赤字が民間の黒字を意味する。(事実)
・経済の話をするときには、労働者が豊かに暮らせるだけの政治・経済体制になっているかどうかに視点を合わせ「眼鏡を書き換える」必要あり。(提案)

今の日本は、例えて言えば、極端に痩せすぎの人がいて「食べると健康を害するほどの肥満になるから食べるのは控えなさい」と言って食べ物を与えないようなものです。

本を読んでの気づき・感想

言われてみれば当たり前の簡単な理論が、当たり前に伝わらないことで、今の日本の衰退を招いてしまっていると感じました。

誰かの負債は誰かの資産、簿記の理論で証明されている事実なのです。 下記、Youtube確認ください。
コロナ渦での10万円定額給付の手続きの過程で明確になったように、政府が国債発行する = 個人の銀行預金通帳に10万円が印字という記録が残る。

政府が国債を発行して財政支出すると民間のお金が増える。税収がなくても財政支出していけることが事実なのです。

間違った考え
  国債発行 → 国民の借金増 → 財政破綻 → 増税 → 借金返済
 *政府、従来の経済学者、TVに登場する知ったかかぶりをする著名人などマスコミに洗 脳された国民が間違った認識を持ってしまった。

正しい考え
   国債発行→国民の預金の増加→経済発展へのきっかけ→デフレ脱却
  *MMT理論をベースに統計データ・事実をもとにした理論。
   この考え方が、将来へのツケを残さない考え方です。

「デフレから脱却しなくてはならないときに、どうしてそんなにインフレの心配をするのですか?」
これは、MMTの提唱者であるアメリカのステファニー・ケルトン教授が2019年MMT理論の公演を行うために日本を訪れた際に、あまりにも日本人がインフレの心配ばかりするので、皮肉を込めて会場の人に言った言葉です。

MMT 理論を理解し、国民全員が誤った「緊縮財政」呪縛から開放され、すぐに軌道修正をすることが今必要なのです。

まとめ:経済とは何か?

改めて経済について、辞書で調べてみました。

言葉の定義:
世の中をよく治めて人々を苦しみから救うこと。また、そうした政治をいう。▽「経」は治める、統治する。「済民」は人民の難儀を救済すること。「済」は救う、援助する意。

日本を再生させようという自立した人間が一人でも増えることが、日本が自立国家として貧困大国から脱し、再生する道だと思っています。

そんな意味で、この本のタイトルにあるように、MMTは国民全員が知るべき理論であり、日本の衰退を救うために学び、それを知った人が広めて行くべきであるとの確信を得ました。

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