「現代社会を生きるために必須の一冊!『堤未果のショック・ドクトリン』レビュー」

はじめに

私は普段、本を買ってきてもしばらく読むことができず、本棚に積んでしまうことがよくあります。

しかし、この本は現代社会に生きる私たちにとって必須の知恵を提供してくれる良書だと感じました。ページを開くと、私が持っている疑問がスムーズに解決され、知らず知らずのうちに一気に読み進めてしまいました。私たち国民が搾取されないためには、情報をどのように読み取るかという知識を自ら身につけることが、将来の社会生活において不可欠な要件だと考えます。

今回、国際ジャーナリストの堤未果氏の「堤未果のショック・ドクトリン」という本を読んで、その書評をまとめました。

ショック・ドクトリンとは何か?

ショックドクトリンとは テロや戦争、クーデターに自然災害、パンデミックや金融危機、 食料不足に気候変動など、 ショッキングな事件が起きた時、 国民がパニックで思考停止している隙に、通常なら炎上するような新自由主義政策(規制緩和、民営化、 社会保障切り捨ての3本柱)を猛スピードでねじ込んで、国や国民の大事な資産を合法的に略奪し、 政府とお友達企業群が大儲けする手法です。(本書P37)

本書には、違和感チェックリストが掲載されていました。

ショッキングな事件や著名人のスキャンダルなど、国民の関心が高まる出来事が起きた際に、以下の項目をチェックすることが提案されています。いくつかの項目を抜粋すると、

□反対意見や疑問が出ると陰謀論 差別主義者など内容ではなく人に レッテルが貼られる

□メディアが横並びで一斉 報道

□コメンテーターの論調が皆一緒

□前にも似た パターンがあった

□SNS で疑問を送ると担当大臣にブロックされる

□大多数が信じていたり正しそうに見えてもなぜかモヤモヤする (重要です) 

これだけでも情報のアンテナ感度をチェックできると思います。

 本書の内容について

 本書の内容は主に3つの章に分かれています。1章:マイナンバーという国民監視テク、2章:命につけられる値札ーコロナショック・ドクトリン、3章:脱炭素ユートピアの先にあるディストピア、です。それぞれの要点をまとめました。本文を引用しながら私の考えをまとめました。

マイナンバーという国民監視テク

河野デジタル担当大臣は、マイナ保険証とマイナンバーカードを一体化しようとしています。結局紐づけで不正が見つかったというニュースが流れて大問題に発展しています。それでも強引に、保険証を紐付けようとしています。こういったニュースの背景から、どんな勢力が金儲けをしているのか、誰が得をするのか、と見分けなければならないのです。

マイナ保険証は、タイムリーな話題で今まさに政府が仕掛けようとしている、デジタル化の流れを汲んでいます。

ショックドクトリンの開発者である ミルトンフリードマン教授によると、この手法を成功させる最大のコツとは、”国民がショックによる思考停止から我に帰る前に スピーディーに社会を作り替えてしまうこと” (本書P106)   

話題のマイナ保険証について、今の保険証は2025年までは使えるので、切れる前に資格確認書を申請すれば対応できるようです。

さらに、私達ができることとして、厚労省や総務省のウェブサイトに「国民参加の場」というページに「国民の皆様の声」というボタンがあるので、そこから意見を言うことができる、ということも紹介されていました。

・この章の中で、一番印象に残った部分を、引用します。

”日本は、諸外国が試して見た後でうまくいかなくなって撤退するころに、「さあ追いつけ追い越せ」と両手を挙げて参入する傾向があるようです。なんでも欧米に追いつく必要はありませんが、やるなら丸ごと導入するのではなく、先に導入した国々の失敗事例を研究し、同じ轍を踏まぬようにすべきでしょう。” (本書P100) 

命につけられる値札 ー コロナ ショックドクトリン

この章では、感染症ショック・ドクトリンを例にして、ワクチンバブルで大儲けをした企業、そして日本政府が購入したワクチンの詳細も出ています。

さらに、2023年2月までに、約7783万回のコロナワクチンが廃棄された事実を挙げています。 

P58 ショック・ドクトリンの事例から引用すると

ショック  新型コロナパンデミック

時期    2020年〜

地域    全世界

政策

ロックダウン、ワクチンや検査の義務化、デジタルパス、行動制限、商業活動の制限、中央政府の司令化に医療機関や自治体を置く、番号カード、緊急字を理由にワクチン開発工程の簡略化、メーカーとの非公開契約に政府の公金投入、各国が税金でワクチン購入、関連分野での情報検閲及び統制

ターゲット   全世界の国民

勝ち組    (自分で考えてみましょう)

この勝ち組とは、製薬企業、関連医療機関、PCR検査利権、ワクチン利権に関わった人達であると考えられます。

この章では、コロナショックから立ち上がった人々が、世界のあちこちで立ち上がっているという例も書かれています。ワクチン接種後の死亡報告が2000人超にもなっているのに、「懸念すべき特定の症状はなし」と言い切っている厚労省の話を耳にしたことはあると思います。

この章で印象に残った言葉を引用します。

”いちばん大事なことは、ショックが起こったとき、間をあけずに即導入できるよう、政策(ドクトリン)を前もって準備していくことだ。この手法の成功のカギは、そこにかかっている。”(本書P154)

今回の、コロナ騒動→ワクチン騒動は、最もわかりやすいショック・ドクトリンの事例だったと言えるのではないでしょうか?

脱炭素 ユートピア の先にあるディストピア

この章では、今の世の中が、脱炭素一色となっていること、再エネという美談で害しの植民地になる日本のことなど、矛盾だらけの環境政策に関して書かれています。

P58 ショック・ドクトリンの事例から引用すると

ショック  気候変動

時期    1988年〜

地域    全世界

政策

脱炭素政策、 EV車、 太陽光パネル・風力発電、各種省エネ 予算や賦課金、 畜産縮小政策、 家畜に罰則、 食料縮小政策、 昆虫食推進、 遺伝子組み換えやゲノム編集、 細菌農業など各種バイオ技術、炭素 トラッカー、排出権取引、行動制限と罰金、 15分都市、 特定の燃料禁止、行動制限、政府による土地回収、 スマートシティ、関連分野での言論検閲及び統制

 ターゲット  全人類

 勝ち組  (自分で考えてみましょう) 

この章では、2011年の3.11の地震と津波を見て、外国勢力が、かつてない規模でのビジネスチャンスを狙ってきた例も書かれています。

村井嘉浩宮城県知事自身が竹中平蔵氏と親しく、新自由主義者だったこともあり、漁業、水道、空港の民営化、外国企業の誘致などのドクトリンは、スピーディーに強行されました。

ここでは、被災地や国民が犠牲になり、外資、投資家、銀行が勝ち組になった事例があります。

・この章で印象に残った言葉を引用します。

”ショックドクトリンの戦略の一つは、都合の悪いことは極力隠蔽、が基本。 メディアで取り上げさせないだけではなく、人々の意識の中にも入れないようにしないといけません。 そのため、肝心な時には、芸能人のニュースを横並びで一斉に流させるなど、あの手この手を使って関心をそらし、国民の「忘却力」を活性化させてくるのです。” (本書P263)

まとめ: 本書を読んで私が感じたこと

私は、教育に携わる仕事に就いていることから、ある気づきを得ました。義務教育の結果として、戦後の日本では以下のような人達が量産されているように思われます。

・何が正しいかということではなく周りに合わせることを重視する。
・何も行動しないことが得策だと考える傾向がある。
・疑問を抱いても声を上げない。
・自分で考えない、調べない。

このような状況を考慮すると、これらの反対を実践することによって、ショック・ドクトリンの罠に陥ることを避けることができるのではないかと思います。

本記事を執筆中、次のヨーロッパの格言が私の頭に浮かびました。

「地獄への道は善意で舗装されている」

日本人は、民主主義、環境保護、自由、平等、人権、差別反対、弱者救済、思いやりワクチンなどの言葉に対して好意的に受け止めます。しかし、我々は注意が必要です。少数の弱者を救済するという善意の思想には、多数の一般国民が犠牲になる構造が潜んでいることを忘れてはなりません。

我々が世の中の仕組みを知らずに、自身が信じてきたこと以外の情報を陰謀論と一括りにし、政府やメディアに騙され続けるのか、それとも事実に基づいて自己の考えを持ち、おかしいと感じることに対して声を上げるのか、その決定権は一人ひとりの心の中にあるのです。

最後に、著者の堤未果氏はあとがきで以下のようにまとめています。

”あるれかえる情報とスピードの中、仕掛けるゲームが強欲さを増すほどに、五感を再起動して立ち止まり、長いスパンで歴史をひもとき、自分の頭で深く考える国民は、時間とともに輝きを増す、我が国の尊い財産になるでしょう。” (本書P280)

私は、この本を読んだことで、正しい歴史を学び未来を選択する自由を決して手放さない、と心に誓いました。

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