新日本人道
はじめに
今、アメリカでは、大統領選挙について様々な組織の関与があり、国家クーデターと言われるような状態になっています。国内では、外交・安全保障、デフレ脱却、憲法改正など国の根幹をなす政策運営に対する報道の割合が極めて少なく、日本学術会議問題等々、優先度の低い論戦を聞かされています。自立していない日本、外国の動向に振り回されて、失敗を繰り返している状況は何となからないのかという思いを抱いていました。
そんな中で、日本として自立国家となるにはどうすれば良いか、そして個人として何ができるのかという指針を得るために、この本を読みました。そこに書かれていたのは、私たちが忘れてしまっていた大切な精神だったのです。そして日本を誇りに思う気持ちでした。
この本から得られるもの
この本は、日本の復活を願う人が、自分は何をしたらいいかわからないと考えている人のためのものです。混迷する世界情勢の中で、日本が世界とどう繋がっているかを明示した上で、私達の考え方・行動の指針を示してくれています。本書を読むと、誇りを持った日本人となるにはどうすればいいのか、自分なりの自信を持てるようになります。
著者の紹介
北野幸伯先生は国際関係アナリストで、モスクワ国際関係大学を日本人として初めて卒業されました。ロシアの首都モスクワに28年間滞在し、アメリカや平和ボケした日本のメディアとは全く異なる視点から発信される情報は高く評価されています。主な著書に「中国に勝つ日本の大戦略」「日本の生き筋」「米中覇権戦争の行方」などがあります。
本の概要
本書には、守るべき7つの掟に関して書かれています。
第1の掟:和の世界を作れ
日本は和の国であり、外国人にも愛されている日本の和。日本には宗教対立はなく、「和の国」であり、日本の「和」は外国人からも愛されている。これを日本の良いこととして認識すること。
第2の掟:知性によって日本を自立国家へと導け
自立国家とは「私=日本」が決定権を取り戻すという意味。その中での自立とは、「精神の自立」、「経済の自立」、「エネルギーの自立」、「食料の自立」、「軍事の自立」。今の日本はほとんどが依存心の塊。今はアメリカに依存しているものの、今抱えている日本の最大の危機は、次の依存先が中国に傾いていること。経済的自立を果たしていたとしても精神的自立はできていない日本であることを自覚すべき。個人としてできることは自分自身が精神の自立を成し遂げること。
第3の掟:理想を目指す現実主義者であれ
理想を目指す現実主義者は国民を元気にする。アメリカがとベトナム戦争の敗戦から、自信喪失した後、自虐史観から立ち直り回復した歴史を学ぶこと。 一人一人が和の世界を作る、日本を自立国家にするなど、自分の理想を持って生きていくことや社会に貢献していると宣言して実行していくことが必要。
第4の掟:日本の真の国益は何かを常に考え行動せよ
真の国益とは何かを常に考えて行動するということ。社会では、会社の役割とは何か、長期的視点で考えること、真の国益は何かを見分けることが必要。私たち一人一人は、賢くなるために行動すること。他人や世間のリアクションを考えてみることも大切である。個人の真の利益としての3つの要素「仕事、家族、自分」を大切にし、3つのバランスを取ること。
第5の掟:常に大戦略の視点から物事を見よう
日本政府葉、歴史上で戦略的ミスを繰り返してきた。それは、大戦略的視点を欠いていたから。関係国との協調は、常に主敵(C国)を定めて、それ以外の国との関係改善を図ること。大事なのは、個人の戦略でも、多くのエネルギーを主敵との戦いに集中すること、つまり無駄なエネルギーを使わず、最重要目標達成に必要な能力に磨きをかけること。
第6の掟:日本を愛し、他国・他民族への尊敬の念を忘れるな
愛国主義と民族主義の違いを理解し、愛国主義者になっても民族主義者にならないように注意する必要がある。”和ァームジャパン戦略”を遂行する、つまりあたたかい言葉と言動によって、世界に平和をもたらす。温かい言葉と行動によって世界にもたらすの名は和ァームジャパン戦略。
第7の掟:言葉と行動によって日本の名声を高めよ
フィンランドは親切度が高い国。日本人も同じように親切な国民。善良さ、さらに勤勉さ、そして目標が加われば日本の未来は明るい。
日本の自立は自分自身の自立から。自立国家日本を作るために私達は世界とつながっていることを意識し、言葉と行動で日本国の名声を高めよう。
まとめ:本を読んでの気づき・感想
本書のまえがき部分に、以下の内容の記載がありました。
一人当たり GDP は2000年時点で世界第2位→2018年には何と26位まで低下。
さらに国連世界幸福度ランキング2019年によると日本人の幸福度は世界で58位。
日本人の労働生産性は G 7諸国中最下位。日本人の平均睡眠時間は100カ国中最も短い。
熱意のある社員はたった6%。 (日経新聞2017年ギャラップ社の調査結果)
日本は、敗戦以降、アメリカの GHQの占領政策により自虐史観を叩き込まれてきました。 その影響は根深く、残念ながら国家としての自立は果たせていません。海外各国の顔色を伺いながら、75年前に作られた憲法に縛られて、ビクビクしながら外交を続けています。こんな状態では日本は長続きしません。
さらに、誤った貨幣観=”緊縮財政”の影響もあり、中小企業構想改革、グローバリズム、IR、インバウンドなどに代表されるような政策によって、日本という国家の共同体・和の心を破壊するような方向に政治が動いてしまっています。
私が今回この本を読んで影響を受けたのは、私たち一人ひとりが日本の評判に影響を与えているという部分でした。つまり、ひとりひとりの考え方が日本の国益に影響を与えている、ということです。
もう一度、和の心、日本の良さを再認識し、平和ボケした日本人が目を覚まし、自分の目標を持って自立している人が増えること、そして間違った政策に対しては”NO”と言うことができ、国益を考えられる日本人が一人でも増えるように願ってやみません。