仮説思考

1.分析という名の呪縛

仕事をしているあるいはプライベートでも問題解決をする機会はいたるところに存在します。その中で、問題解決をどのようにしたらよいか、その方法について悩んでいる人はとても多いのではないでしょうか。私も問題解決についてとても多くの悩みがありました。

特に情報についての扱いはインターネット社会においてより多くの情報を集めれば良い、多くの情報を集め分析し、その分析結果に基づいて自分の意見をまとめ、そして問題解決する、それが問題解決の常識であると信じていました。

ところが、現代社会において科学技術の急速な発展により、決断のスピードを早くしないともう他のライバル会社に追いついていけない時代になっています。私自身も情報収集にばかり時間がかかる時代に問題解決を早くできる方法はないのだろうか、その方法を探し求めていました。 

先日、本屋でふと手にしたこの本は、そんな私の悩みを解決するのにぴったりの一冊でした。

2.この本から得られるものとは

情報が多ければ多いほど良い意思決定ができると信じていたビジネスマンにとっては、この本の内容は従来の考え方からの転換を迫られる問題です。 世の中、分析が大事だということで、分析力を向上させるためのノウハウは、ネットでも本でもあるれるように出回っています。

今の変化の激しい時代において、徹底的に調べ上げてから答えを出すというプロセスは、もう過去のものになりつつあります。
分析力よりも大事なもの、それは、仮説思考を身につけることであり、今の時代の要請にマッチした最も大切な能力であると私は考えます。

この本を読むことで、ビジネスマンとして必要な「学習能力」の肝となる「優れた仮説の構築とその検証能力」をどのようにして高めていくか、その方法が明らかになります。

3.著者のプロフィール

著者の内田一成先生は、東京工業大学を卒業し慶應義塾大学経営学博士日本航空株式会社を経てボストンコンサルティンググループに入社、このコンサルタント会社で得られた知見をもとに多くの著書を出され、ビジネス会で影響力を与えておられる方です。
この本を読めば、なぜ2006年に第1刷発行以降、2017年2月21日時点で第24 刷になるまでなぜ売れ続けているかの理由がわかります。

4. 本の概要

この本の中で言われているのは、現在のビジネスパーソンは、 情報が多ければ多いほど良い意思決定や間違いのない意思決定ができると信じている。ところが実はそうではない。情報をいかに切り捨てられるか、 これが今の情報化社会においてより質の高い意思決定ができるといった内容が書かれています。
大事なのはまず仮設ありきでやってみる。そして「仮説→実験→検証」のプロセスを経ることが大事であると述べています。

本書の中で、仮説思考を実践されている天才将士、羽生名人の話を引き合いに出しています。以下、わかりやすい羽生名人のコメントがありましたので引用します。 

判断のための情報が増えるほど正しい決断ができるようになるかというと、必ずしもそうはいかない。私はそこに将棋の面白さのひとつがあると思っているが、経験によって考える材料が増えると、逆に、迷ったり、心配したり、怖いという気持ちが働き、思考の迷路にはまってしまう。将棋に限らず、考える力というのはそういうものだろう。

引用元:仮説思考 内田和成著 P33 

これは、ビジネスにおいても同じことが言えます。

大事な思考は仮説を立てて思考する力を高めること、それは日常生活の中でもできることであると著者は述べています。仮説をすることの効用として、仕事が早くなる、質質が上がることがあります。

本書の最後は、「これからの時代は枝葉ではなく幹が描ける人間になろう」とのコメントで締めくくっています。

5. 本の内容を自分として活かす方法考えました

1)本を読む前の自分

今までの自分は、一定のアウトプットを出すために情報収集をする、それもいろんな角度から情報収集をすることが大前提で、多くを得られた情報から絞り込んでいき、ベストアイデアを自分なりの考えでまとめる方法をベストな問題解決の手法であると信じてきました。

でも加速度的に増える情報に振り回され、何がベストな情報かわかり分からなくなっているというのが悩みでした。学びを形にしてビジネスで結果を出そうとして、 自己啓発の有料講座にいくつも申し込んで、 結局、どれがいいか迷いが出て、消化不良をなってしまい、結果が出なかったという経験をしていました。

2)この本を読んで気づいたこと

 全体像を見なさいというのは、今まで何度か聞いたことがあり自分でも知っていていました。でも知っているのと実際に出来るとのとは大きな違いがあります。

私は「全体像をつかむために具体的にどうするか」の知識がないままに過ごしてきました。「木を見て森を見ず」という言葉があります。私は知らないうちに木ばかり見てしまう自分になってきました。

仮説を立てることで、仕事が早くなり短時間で結論を導き出せる力がついてきます。但し、この思考プロセスを実践するためには、今までの発想を全く違うものに変えていかなければならないのです。このプロセスに気づかせてくれたこの本に出会えたことは幸運です。

3)私としてやること 

仮説思考の考え方を自分なりに応用するとどうなるでしょうか。まずはじめに多くの情報を捨てること、これを意識してやっていこうと考えています。

ビジネスでは、これから、モノやサービスを販売していく場合で活用例をシュミレーションしてみます。まず、マーケティングの1つの手法を学び、成約までの一連のプロセスの設計を素早くやってみる。そして実際に売ってみた後に、検証、改善をしてゆく。その過程で、異なる情報を収集し、テストし、結果を検証するといったプロセスを継続していきます。

これは学びの世界でも同じです。資格試験などで応用できると思います。
まず直近に控えている、資格試験に向けて合格するためのロードマップをざっくり決めてみます。スケジュールの全体像を俯瞰し、効率よく結果を出す方法を明確にしたら実行しもし違う場合は即修正します。今回は、参考書を買いすぎないで合格する学びに挑戦してみます。

6. まとめ

仮説思考は、情報があふれる現代において最も大切な思考術であり、仕事を手際よく質の高いものに変えていくためのコア技術です。

仮説思考を取り入れ何回か繰り返していくうちに、思考の質がどんどん上がってくる、そして仕事自体の精度が良くなるイメージを持っています。これから局面する課題でつまずいた時、常にこの本を本棚から取り出して読み返して実践してみることで、問題解決力が磨かれると確信しています。

将来、この仮説思考を何の迷いもなく活用できると実感できた時点で、”私の人生を変えた一冊”というタイトルでブログを書いている自分を想像しています。

最後にこの本の締めくくりの部分で、最も本質的な部分を表す表現がありましたので、一部抜粋して引用します。

ビジネスで大事なことはどれだけたくさん働いたかではないが、どれだけ正確に調べて分析したかでもない。どれだけ良い答えを短時間に出して、それを速やかに実行に移せるかである。そのために仮説思考が役に立つことを願っている。

仮説思考 内田和成著 P232

以上少しでもお役に立てれば幸いです。

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