勉強するのは何のため?

勉強するのは何のため?    苫野一徳著  (日本評論社) の書評

1,この本を読もうとしたきっかけ
この本を読もうとしたきっかけは、世の中のほとんどの人が、何のために勉強するのか、という問いに対して、はっきりした答えを持っていないこと、そして、私自身もその答えが出せずにいたからです。

2,この本の内容
この本は、第1章から第5章まで問いかけで始まっています。それぞれの問いかけに対して、読者が考えることができるような構成になっています。
今、日本人として教育改革が叫ばれていますが、学力の問題、教育の質、いじめの問題、
など、変わりゆく教育に対して、どう考えれば良いのか、私達にヒントをくれる本です。

3.参考になった主な気づき
 二者択一のマジック
「なんで勉強なんかしなきゃいけないんだろう?」という問いかけがあったとします。それを「勉強は生活を送る上で、役に立つかそれとも役に立たないか?」という問いかけに置き換えることで二者択一にすると答え易くなります。つまり、どちらかが正しいんじゃないのかと思ってしまう傾向に陥ります。
でも、この問いかけにはマジックがあって、これ以上の選択肢を与えられないことによる思考停止を招いてしまう罠にはまってしまいます。あっちとこっち、どちらが正しいのか、と問うことをやめましょう、ということです。

これに対する著者の答えは「できるだけ納得できる第3のアイディアを考えよう」ということです。

・ よくディベートが大事だという論議が張りますが、どちらが論理的に説得力があるか、という思考に陥りがちです。 どんなアイデアも考え合わせておいた上で、お互いに納得できる第3のアイデアを考えあうことが大事だと述べています。

 なんで勉強しなければいけないの?に対しての答え
これに対する答えは絶対的な正解はなく、自分の正解を見つけるということでした。
自分にとって生きる意味を見つけること、これが勉強する意味であると筆者は述べています。
大事なのは、問いの立て方を変える、そして「自分なりの正解」を求めていくこと。

でも、誰に共通する答えがある、とも述べています。
なぜ学ぶのかに対しての共通する答えとは?

「自由になること」です。

自由の定義は、できるだけ満足して、できるなら満足して、生きたいように生きられているという実感

でも、自由になるためには、必ず何らかの力が必要になる。
・学力とはとどのつまりは「学ぶ力」
自分が直面した問題をどうすれば解決できるか考えそのために必要なことを「学ぶ力」
知らないことと分からないことがあれば、どれだけ自分のものにできるかということが重 要だということです。

そして今までの詰め込み型教育とは違って、これからの 学びの基本として考えられているのは「探究型」、「プロジェクト型」の学びの基本となるでしょう。
「自分なりの生き方」「自分なりの正解」を見つけるためにも探究型の学びをすべきです。

学校に行くのは何のため?

まずこれに対しては、なぜいじめが起こるのかを説いています。その根源的な真理は、
自己不全感と呼ばれるものです。人間は誰しも自由への欲望を持っているこは間違いありません。
自分に対する不満つまり自己不全感を抱いていると、満たされないために他人に対してムカついてしまう。自分自身に対する不満自己不全感があることで、その解消のために誰かをいじめてしまうのです。

いじめの根本的な問題は、人間が誰しも自由への要求をもっていることにあり、それに対して、自己不十全感(自分に対する不満)を持っていることです。

いじめはどうしたらなくなるのか?

これに対する答えは人間関係の流動性という仕掛けを作るべきだと説いています。
集団の中で多様な人間関係を豊かに作るために、承認と信頼が得られるような対応をすべきです。

これからの学校はどうなるの?

変わりゆく学校の姿としてオンライン学習の機会や方法は増々充実していきます。学びの方法は一つではありません。
もし学校なくして学習は基本的にインターネットでということになったらどう学べばいいかわからない子供たちが続出することでしょう。

4.まとめ、感想、私が取り組むこと
コロナの影響で自宅での生活を余儀なくされた子供達が、十分に自宅学習できるのかどうかもしっかり考えなければいけない問題です。

なぜ学校に行かなければいけないかという問いかけに対して、

私の見解は、、仮に学校があることで、きちんとした秩序が保たれ基盤となるルール仕組み、規律の中で学んだ方が、コミュニケーション、人間的な成長も育まれるのではないか、とそう思います。
教育の在り方を考え、もし子どもたちから「なぜ学校に行かなければいけないの?」という問いかけを受けた場合、
「それは長い人生のなかで、その勉強がいつ必要になるかわからない、そのための準備をするためだよ」と答えると思います。

多様化を見せる教育の仕組みを考えるいいきっかけになりました。

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