すべてのことはメッセージ―飛騨高山講演に参加して

はじめに

2025年10月13日、飛騨高山で行われた深田萌絵さんの講演会に参加しました。彼女の活動を長く追ってきた方も多いと思いますが、今回の講演では、発言の裏側にある苦悩と覚悟を改めて知ることができました。IT企業経営者としての経験を軸に、政治・メディア・国際問題に切り込む姿勢ゆえに、国内外から圧力を受けてきた経緯が語られました。なぜ危険を承知で真実を語り続けるのか――その核心に触れられたことが、私にとっての最大の収穫でした。以下に、講演の内容と私自身の受け止めをまとめます。

講演の内容

危険を承知で語る理由と2011年の転機

深田さんは、右派にも左派にも属さず、資金的な後ろ盾にも頼らない立場で活動を続けてきました。だからこそ、政治家や当局、海外の調査機関からの圧力にさらされる場面が少なくないといいます。それでも語り続ける理由は、「隠された事実を可視化すること自体が社会の力になる」からだ、という言葉に尽きます。
転機は2011年3月6日でした。箱根で「過去を知りたければ伊勢神宮へ」という内なる声を聞き、3月10日に参拝した際、「明日、大きな地震が起こる」という直感を得たそうです。そして、3月11日、東日本大震災が発生します。混乱の中で「原発事故の真相と日本の限界」を感じたといいます。そこで、社会課題に向き合う道を選び、起業と言論活動へ舵を切った経緯が語られました。

裏切りと裁判を越えて――現場主義への転換

起業後は、仲間の離反や資金の持ち逃げ、訴訟、ネットでの誹謗中傷など、会社が崩壊しかけるほどの困難が続いたといいます。心身ともに追い詰められ、精神安定剤に頼った時期もあったそうですが、「薬に頼っていては最前線で戦えない」と決断し断薬。以後は自分の目と足で現場を確かめ、言論活動で勝負する生き方に切り替えたと強い口調で述べました。
2015~16年には、当時は“妄想”と片づけられがちだったスパイ問題を粘り強く発信し、保守系メディアへの寄稿も増えました。しかし、その場で見たのは、政治との近さや海外勢力の影であり、2019年の半導体売却や翌年の誘致策をめぐる動きでは、軍事転用可能な技術流出への懸念が軽視される現実に直面したといいます。「保守」と呼ばれる側にも既得権益と資金の流れが存在することを知り、理想と現実の落差に“保守幻想の崩壊”を経験した、と率直に言葉にされていました。

市民の力が政治を動かす――「東京地検包囲」と周知活動

2023年、東京地検から事情聴取の呼び出しを受けた日、台風接近にもかかわらず会場周辺には650人の市民が集まり、「真実を語る権利を守れ」と声を上げました。長時間の聴取ののち解放に至り、「法解釈が歪められても、市民が声を合わせれば状況は動く」と実感した出来事だったと振り返ります。
また、LGBT理解増進法案の審議時には「女性と子どもの安全」を軸に、市民とともに周知活動を展開しました。50万枚のチラシ配布と議員事務所への意見提出を促す取り組みは、最終的に修正条項の追加という形で政策へ反映されたといいます。「世論は一人ひとりの行動からしか生まれない」ことを具体的な体験とともに語られました。

技術流出のリスクと自由・安全の均衡

講演の後半では、軍事技術や先端研究が海外へ流出する問題が取り上げられました。大学や企業から人材・情報が漏れ、国際資本の思惑に取り込まれる構図は、やがて国家の安全と国民生活に跳ね返ると警鐘を鳴らします。同時に、「この国を動かすのはごく少数」という権力に構造にも触れ、巨大資本や国際金融と情報が循環する現実のなかで、私たちが本当に問うべきは「為替や株価の数字が、日々の家計や職場や地域にどう影響しているか」という視点だと強調しました。円安や物価、住宅、労働市場の変化は、私たちの暮らしそのものだという指摘です。
さらに、スパイ防止法や緊急事態条項の議論についても言及がありました。安全保障の必要性を認めつつも、権力が恣意的に運用されれば表現や結社の自由が損なわれ、民主主義は形骸化します。だからこそ、市民が自由と安全の均衡を日常的に監視し続ける姿勢が不可欠だと訴えられました。

自分を信じる力と「人生は一度きり」という思考への疑問

「誰を信じるべきか」と問われたとき、深田さんは「誰も信じなくていい。自分を信じてください」と明言しました。ここでいう自信とは、安易な自己肯定ではなく、「約束を守る自分」を積み重ねることで育つ信頼だといいます。倒れても立ち上がる回数が、自分への信頼を厚くしていく、との言葉に思わず共感しました。
また、「人生は一度きり」という考え方にも言及されました。もし“死ねば終わり”という観念が強まれば、短期の利益を優先し、未来への責任を手放しやすくなります。日本人が古くから持ってきた”輪廻転生”「再びこの国に生まれるなら、どんな社会を残したいか」と自らに問うことが、現在の選択を確かなものにするという提案は、私にも腑に落ちました。

出来事はすべてメッセージであり、行動指針へつなげる

「あの日の呼び声(2011年3月6日)から十数年、明確な答えはまだ見つかっていません。それでも、起こる出来事はいつもメッセージ」――深田さんは言われました。偶然に見える出来事を“呼びかけ”として受け取り「今、何を為すべきか」を問い続ける姿勢が彼女の原点であり、今も変わらぬ軸だとのことです。
講演会の結びで、大切な四つの指針を示されました。

  1. 自分の力を信じる・・・ 小さな行動が世論の核になっていく。
  2. 自分の言葉で語る・・・受け売りではなく、見たことを語る。
  3. 現場に飛び込む・・・自分の足で確かめ、肩書きから距離を取る。
  4. 長い時間軸で考える・・・ 次世代への責任を意識する。

私の感想

深田萌絵さんの語りは、政治的な立場の賛否を越えて、「どう生きるか」という実践の提案として響きました。現場を優先し、追い詰められても立ち上がる姿勢に、私は強い共感を覚えました。特に「人生は一度きり」という思考への警鐘は、私自身のこれからの行動を見直す大きなきっかけになりました。もし本当に一度しか生きられないのだとしたら、「自分さえ良ければいい」という考え方に支配されます。しかし「再びこの国に生まれるかもしれない」と考えた瞬間、子どもたちの未来、地域の基盤、教育や治安、産業や文化をどう次世代に継承するか、という視野が自然と広がります。
私が受け取った最も大切なメッセージは、「自分の意見を、自分の言葉で語る習慣を身につけること」です。おかしいと思ったことを率直に言葉にし、必要なら小さくても行動に移す。小さな一歩でも、同じ一歩を踏む人が増えれば、状況は確実に変わります。私は、間違いを見過ごさず、「それは違う」と丁寧に伝えられる人間でありたいと思います。その積み重ねは、結果として“神様から選ばれる生き方”につながると信じています。
今回の講演で、「自分の行動が未来を形づくる」という当たり前の真理を、メッセージとして受け取りました。今日の小さな選択の積み重ねが、少しでも良い形で未来に現れることを願いつつ、毎日の生活に生かしていきたいと思います。

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