テレビを捨てよ、真実を見よ―メディア依存からの脱却

はじめに:本当に「正しい情報」を受け取っているのか
私たちの生活の中には、テレビがあまりにも当たり前のように存在しています。
病院の待合室、喫茶店、食堂、スポーツジム──どこへ行っても、テレビの映像と音声が流れています。
それが「日常の風景」となって久しい今、多くの人がテレビを通じてのみ情報を受け取り、その内容を疑うことなく信じているのが現状です。
ある日、私は、知り合いの人に政治の話をしようとしたところ、”政治の話題はやめよう”と言われました。また別の人には、”国際情勢は自分には関係ない”と返されました。このような反応が、今の日本人の多くの姿を象徴しているように思います。
つまり、私たちは知らぬ間に、メディアによって行動や思考を“誘導”されているのです。政府の言うこと、テレビの報道、新聞の論調──それらを「正しい」と信じて、深く考えずに受け入れてはいないでしょうか。
でも、本当に政府やメディアは正しい情報を伝えているのでしょうか?
「正しい」と思わされてきたニュースの数々
「日本は財政赤字で、このままでは破綻する」
「CO₂削減のためにEV車を普及させよう」
「ウクライナは被害者、ロシアが一方的に悪い」
「ワクチン接種は思いやりの証」
これらのメッセージを、私たちは繰り返し耳にしてきました。
しかし、その結果どうなったでしょうか。
日本は真面目に努力し、国際社会に貢献してきたにもかかわらず、経済成長は30年以上も止まったままです。むしろ、他の先進国に比べて貧困化が進み、将来に不安を抱く人が増えています。
つまり、メディアの言う通りに行動した結果、日本だけが取り残されたのです。
この現実を見れば、私たちが受け取ってきた“正しい情報”が本当に正しかったのか、疑問を持たざるを得ません。
メディアが作り出す「世論という名の誘導」
テレビや新聞の影響力はいまだに絶大です。
「NHKが言っているから正しい」「朝日新聞が報じているから間違いない」「池上彰が解説しているから安心」──。こうした“信頼の錯覚”こそが、私たちの判断力を鈍らせています。
たとえばある時期、ファイザーやモデルナなどの製薬会社によるワクチン被害の報道がほとんど取り上げられなかった一方で、小林製薬の一件だけが一斉に報道され、まるで犯罪事件のように扱われました。私が訪れた店舗では「小林製薬の商品は取り扱っていません」という貼り紙まで見かけたほどです。これは、メディアが意図的に人々の印象を一方向へ誘導した典型的な例といえるでしょう。
報道は「正義」の顔をして現れます。しかしその裏側では、巧妙に世論を形成し、社会全体の意識を望ましい方向へと導く“操作装置”として働いています。この構造に気づかない限り、私たちは何度でも同じ罠にはまり続けるのです。
プロパガンダの手口―操作されるニュースの構造
メディアがどのようにして人々の意識や関心を操作しているのか──。
その仕組みを理解することは、情報リテラシーを身につけるうえで欠かせません。以下にいくつかの事例を示します。

スキャンダルで目をそらす
重要な法案が国会で審議されている時期に限って、芸能人の不倫や不祥事が大きく取り上げられることがあります。たとえば2023年、広末涼子氏の不倫疑惑報道の陰で、岸田政権の失策や支持率低下の報道が影を潜めました。中居正広氏の活動休止やガーシー元議員の逮捕なども、同じように注目を集めました。こうした話題の洪水は、人々の関心を政治から逸らし、監視の目を鈍らせる効果があります。
“金曜夜の発表”の罠
政府や大企業が不都合な情報を公表するのは、多くの場合「金曜の夜」や「連休前の夕方」です。世間が休暇モードに入り、ニュースへの関心が薄れる時間帯を狙うことで、批判が広がるのを防ぎます。週明けには新しい話題に上書きされ、問題は自然と風化してしまう──これが典型的な“情報操作の時間差攻撃”です。
言葉のすり替え
「軍事作戦」を「平和維持活動」、「空爆」を「ピンポイント攻撃」、「民間人被害」を 「副次的被害」といった具合に置き換えている例が見受けられます。
このように言葉の印象をやわらげることで、受け手の警戒心を下げ、抵抗感を減らす手法です。言葉が変わるだけで、政策や出来事の印象はまったく違って見えるのです。
敵とヒーローを作る
ロシア・ウクライナ戦争では、「ウクライナ=正義」「ロシア=悪」という単純な構図が世界中に広まりました。メディアはゼレンスキー大統領を“英雄”として持ち上げ、日本も巨額の支援を行いました。しかし、国際政治は白黒で語れるほど単純ではありません。
感情を刺激して冷静な判断を奪う──これこそが、プロパガンダの最も巧妙な手口なのです。
戦後に仕組まれた情報支配―無意識の刷り込み
メディアによる情報操作の根は、戦後のGHQ占領政策にさかのぼります。
「ウォー・ギルト・インフォメーション・プログラム(WGIP)」によって、「戦争の責任はすべて日本にある」という罪悪感が徹底的に植え付けられました。
報道を統制する「プレスコード」、学校教育、映画などを通じて、「連合国=正義」「日本=悪」という価値観が当たり前のように広められたのです。
その結果、私たちは「平和憲法こそ唯一の道」「戦争を反省し続ける国こそ美しい日本」という固定観念の中で思考するようになりました。この“静かな洗脳”は、戦後80年経過した今でも続いています。石破元総理が今年の8月15日、全国戦没者追悼式で「反省という言葉を用いて式辞を行った」例でも分かる通り、さまざまな場所で今なお影響を与えているのです。
戦後占領政策が与える影響については、書籍「閉ざされた言語空間ー占領軍の検閲と戦後日本」江藤淳著 が参考になります。

「ニュースの裏側」を読む力を養う
では、どうすれば騙されずに済むのでしょうか。それは、「一歩引いて見る」視点を持つことです。
- なぜ今、このニュースが流されたのか?
- この情報で誰が得をしているのか?
- スポンサーの意向が反映されていないか?
- 海外メディアではどう伝えているのか?
また、報道を見たときに自分の感情がどう動かされたかにも注目すべきでしょう。怒りや悲しみ、恐怖を感じたときこそ、冷静に裏側を考えることが大切です。「感情を動かす報道」には、必ず“意図”があるのです。
メディアウイルスから身を守る方法
理屈では「テレビは偏っている」とわかっていても、ついスイッチを入れてしまう──。
それは習慣として染みついているからです。けれども、まずはその「習慣」から距離を置く勇気を持ちましょう。
情報に振り回されないための実践法
- 思い切ってテレビを撤去する
- ニュースは必要なときだけネットで確認する
- NHKや大手新聞の論調をうのみにせず、海外報道や一次情報と比較する
情報に触れる時間を減らすことは、心を守る「情報デトックス」です。
真実を見抜く力は、喧騒の中ではなく、静かな時間の中でしか育ちません。2024年の「報道の自由度ランキング」で、日本は世界 70位 に位置しています。
「報道の自由」とは、””ジャーナリストが政治的・経済的・社会的干渉を受けず、安全に、公共の利益に資するニュースを取材・発信できる権利””を意味します。
(参考:報道の自由度ランキング2024)
また、「世界価値観調査」によると、他の先進国では「新聞・雑誌・テレビを信頼できる」と答えた人は 5割以下 だったのに対し、日本では 約7割 に達しています。
(参考:PRESIDENT Online「なぜ日本人だけが”テレビを信じすぎる”のか 世界価値観調査でわかった日本の特殊性」)

情報源
https://president.jp/articles/-/43134?page=3
同調圧力に流されない勇気を
コロナ禍でのマスク着用やワクチン接種、そしてウクライナ支援──。
これらの出来事に共通していたのは、「周りに合わせることが正しい」という空気が社会全体を覆っていたことです。
しかし、本来「正しいことは正しい」「間違っていることは間違っている」という当たり前の感覚を持つことこそ、自由な思考の出発点です。
今の時代、学びや情報源は無限にあります。たとえば、なぜ今「熊の被害」ばかりが大きく報道されているのか。なぜ現象だけが取り上げられ、原因についての議論(太陽光パネルによる環境破壊の可能性)が行われないのか。その背後にはどんな意図が隠されているのでしょうか。
また、最近インフルエンザやコロナの感染者数を頻繁に報じるニュースが増えています。そうした報道に影響されて、無意識のうちに再びマスクを着けていないでしょうか?5年前と同じ行動を、同じ理由も確かめずに繰り返してはいないでしょうか?
こうした問いを日々意識することが、「考える力」を鍛える第一歩です。誰かに忖度したり、空気に流されたりするのではなく、自分の頭で考える。それこそが、メディアに支配されやすい時代を生き抜くための、最大の“免疫力”ではないでしょうか。

結論:考える力を取り戻そう
私たちが何気なく受け取るニュースや言葉の多くは、すでに操作されています。
この現実を直視しない限り、「失われた30年」は「失われた50年」に延びていくでしょう。
いま必要なのは、自ら考える力を取り戻すことです。
そして、大人が目覚め、子どもたちに「自分の頭で考える力」を伝えること。テレビを消し、新聞を疑い、自ら調べ、自分の言葉で語る。その小さな積み重ねこそが、情報に支配された社会から抜け出す第一歩なのです。
参考文献:「こうして日本人だけが騙される」丸谷元人著
「閉ざされた言語空間ー占領軍の検閲と戦後日本」江藤淳著

