奇跡の経済教室

1.はじめに

奇跡の経済教室(基礎知識編) 中野剛志著(KKベストセラーズ)を読んでの感想

衝撃的な事実があります。1995年〜2015年までの20年間の名目GDP(国内総生産)成長率の各国比較で、主要先進国の中でも日本だけが突出して成長していないのです。日本だけがダントツで低成長なのです。

平成に入ってからの日本の実体経済は何故良くならないのか?経済を良くするにはどうしたらいいのか。なぜ日本のマスコミ・有識者は、以前から財政破綻することをずっと言い続け、消費税を上げる政策をとってきたのか?。そんな疑問がずっと沸いていました。そして本当に政府は適切な経済政策を受けているのだろうか、この謎を解くために様々な情報収集をしていました。
本書は、この疑問を解決するのにぴったりの本でした。

日本だけが突出して成長していない事実から目をそむけないこと!
本書P23より抜粋

2.この本から得られるものとは

日本経済が成長しなくなった理由、GDPが全く成長しない理由、なぜグローバル化、無駄の排除、財政健全化をすることが亡国への道につながるのか、その理由がわかります。
今までの主流派経済学者の経済理論が、全く間違っていた背景がわかります。
消費増税は、経済に深刻な悪影響をもたらす理由がわかります。

3.著者のプロフィール

元京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治思想。96年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。01年に同大学院にて優等修士号、05年に博士号を取得。
主な著書に「 TPP 亡国論」「日本の没落」などがあります。

4. 本の概要

●平成の日本経済が成長しなくなった最大の理由はデフレ。
●デフレとは需要不足・供給過剰が持続する状態。インフレとは需要過剰・供給不足が持続する状態。
インフレ対策:小さな政府、財政支出の削減、増税、金融引き締め、生産性の向上、競争力の強化。
デフレ対策:大きな政府、財政支出の拡大、減税。金融緩和、産業保護、労働者保護
学校規制強化、国有化、 グローバル化の抑制。
●平成日本はずっとデフレだったのに、インフレ対策(財政支出の削減、消費増税、規制緩和、自由化、民営化、グローバル化)をやり続けた。
●貨幣には、現金通貨と預金通貨がある。預金を創造するのは銀行、借り手の資金需要が、銀行による貨幣(預金)の創造を可能にする。
●量的緩和(マネタリーベースの増大)では、貨幣供給量が増えない。デフレ下で貨幣供給量を増やすのは政府が資金需要を拡大するしかない。(財政出動)
●財政に関する正しい理解
・民間金融資産は、国債発行の制約とはならない。
・政府は自国通貨発行権を有するので、自国通貨建て国債が返済不能になることは理論上ありえないし歴史上も例がない。
・財政赤字の大きささは、財政危機とは無関係。
・財政赤字の大小を判断するための基準は、インフレ率。
・税は、物価調整や所得再配分など、経済を調整するための手段であり、財源確保の手段ではない。
●財政健全化の目的は、「経済の健全化」でなければならない。

5.本の内容を生かす方法

1)今までの自分
ニュース報道で流れてくる政治経済の実態を真実だと思っていて、グローバリスム、小さな政府、無駄の削減は良いことだと自分の脳に刷り込まれてきました。そして、国の借金はいくらあるという報道され、その報道が真実だと思っていました。 正しい経済知識、貨幣論を理解していなかったのです。
それと同時に、今年コロナ対策で、国民に一律10万円の給付がされたことで、国民は経済が潤うきっかけになることを実感したことです。このことで、私は、今までの考え方は何かおかしいのではないかと気づき、経済の原則を学び始めました。

2)この本を読んでの気づき
今まで、グローバリズム、無駄の排除、海外からの移民受け入れ、財政健全化などの施策、
が全て、日本が衰退する根本原因になっていたことが理解できました。

平成の時代は、日本全体が無駄の排除の方向に舵取りをしてしまったことが経済の発展を削ぎ、国民の貧困化、少子化など様々な問題を引き起こしてしまいました。財政圧縮をすることの弊害は、例えば、脱ダム宣言の名のもとに必要なダムの建設をしてこなかったために、水害が至るところで発生し、尊い命が奪われてしまったというところにも表れています。

財務省主導のプライマリーバランスの黒字化が政府の目標になってしまい、財源確保の名目で消費増税を繰り返すことで消費を落ち込ませ、経済成長を阻害し国民の貧困化を促進してしまったのが現実です。

でも、この同じ過ちが繰り返されようとしています。国債発行をしても債務不履行に陥ることはありえないという事実を共有すること、この思考転換こそが日本を良くする唯一の道だと思います。

3)私としてやるべきこと
・MMT( 現代貨幣理論)を十分に理解し、経済に関して精通すること。
・事実ベースで語り、正しい情報を発信して、少しずつ日本を良くするように周りの人に影響を与えること。
・間違った情報を流すマスコミの情報に対して、自分なりに反論できる意見を持つこと。
・正しい経済対策をしている政治家の意見に耳を傾け、投票行動に反映すること。
・間違った思考に陥りがちな人間本来の特性をしっかりと理解をすること。

6.まとめ

日本人一人一人が正しい経済・貨幣の知識を持って、それを政治に反映させるための投票行動をしない限り今の日本は変えられない、という危機感をいだきました。
この本の内容を国民全体が理解し、政治が動くきっかけになれば良い日本に改善できるという夢も抱きつつ、自分自身がやれることを少しずつやっていきたいと思います。

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