忍び寄る「食の危機」〜日本の食卓と安全保障

私たちは毎日、当たり前のように食事をしていますが、その「食」が今、かつてない危機に瀕していることをご存知でしょうか。日本の食料安全保障は、「量が足りるか」という問題だけでなく、「質の安全性」が著しく損なわれているという、二重の危機に直面しています。

先日、お腹が空いてのでドラッグストアに立ち寄りました。商品のラベルを確認すると添加物だらけ。結局何も買えず、水だけ持ち帰りました。これをきっかけに今の日本に忍び寄る「食の危機」について調べ、日本の現状を知って愕然としました。その内容を下記のとおりまとめました。

「胃袋からの属国化」——戦後から続く食生活の改変

日本の食料自給率(カロリーベース)は現在、わずか38%にまで落ち込んでいます。その背景には、戦後アメリカによる周到な戦略がありました。

戦後の日本はアメリカの余剰農産物の「処分場」として位置づけられてきました。1958年には慶應義塾大学医学部教授の林 髞(はやしたかし)氏が著書の中で「米を食べると頭が悪くなる」という趣旨の主張(粉食奨励)を展開。今では信じがたいことですが、こうした学者による宣伝が行われ、学校給食を通じてパンと脱脂粉乳、つまりアメリカ産の小麦・乳製品、へ依存させる体制に転換させられました。

その結果、日本の伝統的な米食文化は衰退し、米の消費量は全盛期の半分以下にまで減少してしまいました。

世界が規制する「有害物質」が、なぜ日本の食卓に?

現在、世界各地で禁止・規制が進んでいる物質が、日本の食卓には無防備に並んでいます。これは偶然ではなく、他国で売れなくなったリスクのある産品を日本が「処分場」として受け入れる、深刻な構造的問題といえます。

グリホサート(発がん性除草剤)の基準緩和

アメリカではバイエル(旧モンサント)社への数千億円規模の賠償判決が相次いでいる除草剤「グリホサート」。日本ではなぜか逆に残留基準値が大幅に緩和され、小麦で従来の6倍、製品によっては150倍にまで引き上げられました。その結果、輸入小麦を使った市販パンの多くからグリホサートが検出されるという異常事態が起きています。

「遺伝子組み換えでない」表示の事実上の消滅

2023年4月からの新ルールでは、意図せぬ混入が0.001%でもあれば「遺伝子組み換えでない」と表示できなくなりました。これはアメリカからの圧力を受けた制度改正であり、消費者が安全な食品を選ぶための選択肢を事実上奪うものです。

ゲノム編集食品・ポストハーベスト農薬・成長ホルモン

安全性が不透明なゲノム編集食品は、安全性審査も表示義務もなく流通。収穫後の防カビ目的で使用される「ポストハーベスト農薬」は「食品添加物」に分類され、農薬としての規制を免れています。また、アメリカ産牛肉に含まれるエストロゲン(女性ホルモン)濃度は国産牛の600倍に達するという報告もあり、乳がんや前立腺がんの増加との関連が強く懸念されています。

アメリカではロバート・F・ケネディJr.がMAHA運動(アメリカを再び健康な国にする)を展開し、グローバル企業に圧力をかけています。その結果として、規制の緩い日本が「はけ口」になっている側面は否定できません。

崩壊する農業基盤:農地・水・海が奪われていく

食料自給の最後の砦である日本の農業も、意図的な政策と外国資本の参入により、根底から揺らいでいます。

農家の所得「時給10円」という現実

長年の減反政策と価格の買い叩きにより、米農家が1年の重労働で手にする所得はわずか1万円前後、時給換算で10円というレベルです。財務省は「非効率」として農業予算を削り続けており、農家の廃業と集落の消滅は必然の流れとなりつつあります。

有事には「罰金」でサツマイモを作れ?

新たに制定された「食料供給困難事態対策法(食料有事法)」は、平時は農家を支援せず疲弊させておきながら、食料危機になれば「命令に従って米やサツマイモを作れ、従わなければ罰金」という内容。これは安全保障の名を借りた農家への脅しに他なりません。

外国資本による農地・水源・漁業権の買い占め

北海道ではすでに、静岡県の面積に匹敵するほどの土地が外国資本(主に中国系)の手に渡ったとも言われています。また、漁業法改正により漁業権が売買可能になったことで、日本の「海」までもが外資に支配されるリスクが高まっています。

食料を他国に依存し、土地・水・海まで奪われれば、戦争をせずとも他国の言いなりになる「実質的な植民地状態」に陥ります。国が輸出用米には手厚い補助金を出す一方、国内消費用米の生産を抑制して不足分をアメリカ産で補おうとする現状は、依存を意図的に深めさせる戦略と言わざるを得ません。

私たちにできること——子どもたちの未来を守るために

この危機を乗り越えるために、私たちは何をすればよいでしょうか?それには、国の行政や他国に任せきりにせず、私たち消費者が自覚を持って動き始めることが大切なのです。

国産・地元のものを選ぶ

地域の直売所や地元農家から野菜を買う。それだけで農業の担い手を直接支え、日本の食料供給力を守ることにつながっていくのです。

学校給食をオーガニックに

今の現状を認識し「有機給食革命」を実践している市町村は増えています。成功した地域の取り組み事例を参考に、この流れが全国に広がていくことを強く望みます。

「今だけ・金だけ・自分だけ」からの脱却

少し前に世間で話題になったゲノム編集トマト、コオロギ食などを口にしたいですか?目先の安さや便利さの裏にあるリスクを自覚し、次世代に豊かな国土と安全な食を繋いでいく意識を持つこと、日本の伝統的な食材を大切にするといった心がけが今の時代に生きる私たちにとっては必要不可欠なのです。

「あなたは、あなたが食べたものでできている」

食の安全を守ることは、この国と、大切な家族の命を守ることそのものなのです。


参考文献:
「ルポ 食が壊れる」堤未果著
「コメ・ショック」鈴木宣弘著
雑誌Renaissance 食がもたらす病:”食卓”教える戦後史 

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