自民党の失敗の本質~日本経済停滞の真実と再生への処方箋~

はじめに:失われた30年の正体

日本経済はこの30年間、「失われた30年」と呼ばれる長期停滞から抜け出せずにいます。GDPは伸びず、実質賃金も上がらず、物価だけがじわじわ上昇し、税負担は増加の一途をたどっています。多くの国民が「なぜ日本だけが成長できないのか」と疑問を抱く一方、その背景には長年の政治路線と経済政策の積み重ねがあります。

とくに、自民党が推進してきた**「小さな政府」路線と、それを支える財務省の緊縮財政思想**は、日本経済の血流を細らせ、国民生活や産業基盤を徐々に弱体化させてきました。「小さな政府」とは、市場原理を重視し、政府の役割を最小限に抑える思想です。一見すると効率的に見えますが、現実には国家が担うべきインフラ整備や産業保護、社会保障の機能まで縮小させ、結果的に国力低下を招いています。

2025年7月の参議院選挙では、この流れに異を唱える有権者が増えました。賃金が上がらず生活が苦しい一方で、消費税や社会保険料は上昇。こうした矛盾に耐えられなくなった人々が投票行動を変え、投票率は60%近くまで上昇しました。政策の中身を見て判断する流れが、ようやく芽生え始めています。

「小さな政府」路線の系譜と思想的背景

日本が「小さな政府」へ舵を切り始めたのは1970年代末の大平正芳内閣です。続く中曽根康弘内閣では、国鉄や電電公社などの民営化が進みました。当時は「官から民へ」が時代のキーワードとなり、財政赤字削減や効率化が強調されました。

1990年代に入りバブルが崩壊すると、橋本龍太郎内閣は財政構造改革法を制定し、歳出削減を制度化します。2000年代の小泉純一郎内閣では「構造改革なくして成長なし」のスローガンの下、郵政民営化や規制緩和が一気に進行しました。とくに郵政民営化は、日本市場への参入を狙うアメリカ生命保険業界の強い意向を反映したものです。

第二次安倍政権でも、消費増税や規制緩和の路線は継続されました。この流れの根底にあるのは、新自由主義思想であり、**緊縮財政・規制緩和・自由貿易という「グローバリズムの三位一体」**が軸となっています。理論上は魅力的に見えるこの思想も、現実には格差拡大や弱者切り捨てをもたらしました。

「改革」の名の下で進められた実質的な弱体化

自民党が進めた「改革」には、効率化や現代化の名目で行われながら、国民生活や安全保障を弱体化させた政策が多く含まれます。

主な政策例

  • 郵政民営化(金融・物流網の外資化リスク)
  • 種子法廃止(農業自給基盤の弱体化)
  • 水道民営化(料金上昇と安全保障リスク)
  • 公務員派遣解禁・自由診療拡大(社会保障格差の拡大)
  • 再エネ固定価格買取制度(電気料金高騰)
  • カジノ解禁、インバウンド推進(外需依存の強化)

さらに金融分野では、株式持ち合い解消、時価会計導入、四半期決算義務化などで企業は短期利益を優先せざるを得ない構造に。1996年には「金融ビッグバン」により市場自由化が進み、外資の影響力が拡大しました。

背景にはアメリカの「年次改革要望書」や「日米構造協議」があり、日本は毎年突き付けられる規制緩和要求を政策に反映させてきました。国内では財務省が緊縮財政を正当化し、この外圧に歩調を合わせました。

小さな政府政策がもたらした弊害

こうした路線の結果、日本は多方面で国力を失いました。

  • インフラ整備の遅延:港湾の国際ランキングは低下、高速道路や新幹線には未整備区間が残り、河川整備不足で豪雨災害対応が困難に。
  • 地方自治体の疲弊:交付税削減で職員減少、非正規化が進み行政サービスの質が低下。
  • 教育・研究・防衛の後退:大学交付金、防衛費、科学技術予算削減で研究力や安全保障力が低下。
  • 医療体制の脆弱化:保健所や病床数減少でパンデミック対応が困難に。

根本には、財務省が政治家と国民に植え付けた「国の借金悪玉論」があります。プライマリーバランス黒字化に固執し、超低金利下でも財政出動を抑えたことが停滞の最大要因です。

安倍政権の「保守」と妥協の実像

第二次安倍政権は、長期政権維持のため巧みに妥協を重ねました。外交ではトランプ氏との関係を強化し、国際舞台で存在感を示す一方、経済面ではグローバリズム寄りの政策も採用。消費増税を受け入れ、二階俊博氏と連携し、米国民主党政権との関係修復にも動きました。

この事実は、日本の「保守」と米国の「保守」が必ずしも同じ意味を持たないことを示しています。国や歴史背景により「保守」の定義は大きく異なります。

菅・岸田・石破各内閣と続く堕落

安倍政権を継いだ菅内閣は、デービッド・アトキンソン氏の主張を反映し「生産性の低い中小企業優遇が成長を妨げている」と発言。安倍政権が半分保守だったのに対し、菅政権は完全に「グローバリスト・親中派連合政権」と化しました。

岸田政権は国家観に乏しく、バイデン政権に追随。安倍元総理暗殺事件後は、自民党は保守政党とは言えない状態が続き、現石破内閣に至っています。日本の国際的地位は目に見えて低下しました。

再生への処方箋:積極財政と国民の主体性

日本を復活させるには、財務省主導の緊縮路線を断ち切り、積極財政に転換することが不可欠です。経済評論家・三橋貴明氏は次の行動を提案しています。

  • 国会議員が財務省の論理を検証し、反証できる情報力を持つ
  • 国民が政治に関心を持ち、選挙や意見表明で意思を示す
  • 「お友達サロン」政治を解体し、透明性を高める
  • 地域・業界団体など中間組織を再構築
  • 国会議員の政策立案力と権限を強化

過去、日本は労働力不足を投資と技術革新で克服し、高度経済成長を実現しました。今こそ同じ発想で生産性向上に向けた投資を行うべきです。

まとめ:自民党一強時代の終焉と国民の選択

2025年7月の参議院選挙は、自民党一強時代の終わりを象徴しました。中でも衝撃的だったのは、平井元デジタル担当大臣が「SNS投稿を削除している」と公言したことです。民主主義国家で言論統制を行うことは極めて重大です。

私たちは今、自民党が国民政党として存続するのか、権力維持に固執して自滅するのかという岐路に立っています。戦後体制の終焉と世界秩序の再編、反グローバリズムの潮流の中で、国民一人ひとりの判断と行動がかつてなく重要です。

無関心は最大の服従
「政党だから」ではなく「政策で」投票する時代です。投票所で、習慣的に自民党と書いてきた有権者も、今こそ知識を持って判断し、主権者として責任を果たすべき時です。それが日本を再び成長軌道に戻す唯一の道であると考えます。

参考文献:

  • 三橋貴明『自民党の研究 失われた30年のからくり』
  • 茂木誠『保守って何?』

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